「韓流ラブストリー 恋の糸」第26話
「韓流ラブストリー 恋の糸」(スカイプが繋ぐ恋 二十六話)
著者:青柳金次郎
「あっ……」
怜音を含めその場にいた女性たちはただただ黙り込んでうっとりと一人の男性に視線を集める。勿論店内にいた他の女性客の視線も釘付けになっている。
「久しぶり兄貴、いい感じのお店だね――」
「おぅ、久しぶり。あっ、室長、弟のイルリョンです――」
「あぁ、私は怜音、こちらの二人は同じ会社の……」
「セヨンです……」
「ナヨンです……」
完全にセヨンとナヨンはイルリョンに心を奪われている。

「どうしたの? セヨン、ナヨン……」
怜音は完全にいかれた状態のセヨンとナヨンの顔を見乍らニンマリとする。
「あなた達完全にイルリョンにホの字って書いてあるわよ!」
怜音の言葉で正気に戻った二人。
「あぁ、どうもすみません初めまして、セヨンです――」
「初めましてナヨンです。どうぞよろしく――」
「こちらこそ、何時も兄がお世話になっています。今日は大切な会にお招きいただき有難うございます。今夜はよろしくお願いします」
毅然としてさらりと挨拶するイルリョンに二人は更にうっとりとしてしまう。周りのテーブルの女性たちも何やらこっちを見乍らざわついている。すっかり店内の女性の視線の的になってしまったイルリョンは全く気にすることなく店員が運んできたビアグラスを持つとさらりと乾杯の音頭を取った。
「それじゃ乾杯といきますかぁ、乾杯!」

イルリョンはこんな雰囲気にはもう慣れっこのようだった。そしてイルリョンは怜音に視線を向けて改めて挨拶をした。
「初めましてイルリョンです。今夜はお招きいただき有難うございます。何時も兄がお世話になっています……」
イルリョンの瞳が怜音に向けられやさしく微笑んだ。怜音も微笑みながらイルリョンの顔を見た。
「ねぇ、フンニ、私達にもちゃんと紹介してよ。弟さん!」
セヨンもナヨンも怜音に向けられたイルリョンの視線の持つ意味を察知したように焦りながらフンニを急かす。
しかし肝心の怜音は全くわれ関せずと言った具合でグラスを傾け乍ら運ばれてきた料理に手を伸ばす。
怜音はもともと男性に対してあまり興味を示さない女性だが、今の怜音の心の中はジャンヨルの事でいっぱいでどんな男性が現れても心を奪われるようなことはない。
寧ろイルリョンの方が怜音に一目ぼれした感じだった。セヨンやナヨンが色々とアプローチするものの当たり障りなくさらりと躱す。
「イルリョンはニューヨークでどんな仕事しているの?」
怜音が聞くとイルリョンは微笑みながらIT関連の会社を経営していますと答えた。それを聞いたセヨンとナヨンは更にうっとりとしながらイルリョンを見詰め乍ら話の先を促す。
怜音はIT関連と聞き少し興味が湧きどんな内容なのか尋ねた。
「僕はスカイプを利用したビジネスに興味があって、特に色々な言語のレッスンは勿論のこと、スカイプを使った家庭学習について力を入れています。
近い将来このビジネスはスカイプ同様に必ず世界中で脚光を集めることでしょう――」
「じゃぁ、K-アカデミーってスカイプで韓国語講座の授業をやっているスクール知ってる?」
「勿論、何度かプロテアンの社長とはお会いしたことがあります。色々アドバイスをもらった事がありますよ」
「そうなんだぁ、プロテアンって言うんだぁ、あの会社――」
「ご存じなんですか?」
「えっ、あぁ、ちょっとお世話になっていて、個人的にね……」
そう言うと怜音は微笑みながらイルリョンを見て、世間は狭いなぁ、と思った。そして最近忙しくて連絡を取っていないアミの事を思い出した。
「へぇ、室長K-アカデミーで韓国語勉強したんですか?」
「そう、そこで知り合った子に韓国へ来るにあたって色々アドバイスを受けたりしてお世話になったの……」
怜音はソウルに来た当時の事を思い出した。あれからもう一年が来ようとしている。月日の経つのはあっという間だなと思った。
色々想いだしながら俯き加減にニタニタしている怜音を見たイルリョンが話しかける。
「何かイイことがあったんですか? 顔がにやけてますよ……」
「そうですよ、室長、彼氏のこと考えて他でしょう――」
「…………」
「えっ!怜音さん彼氏いるんですか……」
「勿論、こんな素敵な女性を世の男達がほっとく訳ないですよ!」
「セヨン、それを言わないでよ。ジャンヨルに会いたくなるからぁ……」
お酒のせいか怜音はニタニタしながらみんなの前でのろけ乍ら顔を赤らめた。イルリョン以外のラバーズのスタッフはみんな怜音の彼氏であるジャンヨルの存在を知っている。

また仕事上で直接スカイプを使って企画についての打ち合わせをすることもあり、ジャンヨルの人となりもよく知っている。
その話を聞いたイルリョンの表情が一瞬曇ったが、頷きながらそれを笑顔で覆い隠した。
そしてお酒の酔いと共に夜も更けていく。帰り間際会計を済ましに行こうとして席を立つ怜音に合わせてイルリョンも席を立った。
「今日は僕が払います。いやぁ、払わせてください!」
「いえいえ、こちらがお招きしておいてそれはできないわ! お気持ちだけいただいておきます」
毅然とした態度で突然のイルリョンの言葉を受け流すと微笑んで見せた。その笑顔にイルリョンは完全に心奪われてしまう。
(なんて素敵な女性なんだろう……)
この時怜音はイルリョンのそんな想いには全く気付いていなかった。
前話を見る
著者:青柳金次郎
「あっ……」
怜音を含めその場にいた女性たちはただただ黙り込んでうっとりと一人の男性に視線を集める。勿論店内にいた他の女性客の視線も釘付けになっている。
「久しぶり兄貴、いい感じのお店だね――」
「おぅ、久しぶり。あっ、室長、弟のイルリョンです――」
「あぁ、私は怜音、こちらの二人は同じ会社の……」
「セヨンです……」
「ナヨンです……」
完全にセヨンとナヨンはイルリョンに心を奪われている。

「どうしたの? セヨン、ナヨン……」
怜音は完全にいかれた状態のセヨンとナヨンの顔を見乍らニンマリとする。
「あなた達完全にイルリョンにホの字って書いてあるわよ!」
怜音の言葉で正気に戻った二人。
「あぁ、どうもすみません初めまして、セヨンです――」
「初めましてナヨンです。どうぞよろしく――」
「こちらこそ、何時も兄がお世話になっています。今日は大切な会にお招きいただき有難うございます。今夜はよろしくお願いします」
毅然としてさらりと挨拶するイルリョンに二人は更にうっとりとしてしまう。周りのテーブルの女性たちも何やらこっちを見乍らざわついている。すっかり店内の女性の視線の的になってしまったイルリョンは全く気にすることなく店員が運んできたビアグラスを持つとさらりと乾杯の音頭を取った。
「それじゃ乾杯といきますかぁ、乾杯!」

イルリョンはこんな雰囲気にはもう慣れっこのようだった。そしてイルリョンは怜音に視線を向けて改めて挨拶をした。
「初めましてイルリョンです。今夜はお招きいただき有難うございます。何時も兄がお世話になっています……」
イルリョンの瞳が怜音に向けられやさしく微笑んだ。怜音も微笑みながらイルリョンの顔を見た。
「ねぇ、フンニ、私達にもちゃんと紹介してよ。弟さん!」
セヨンもナヨンも怜音に向けられたイルリョンの視線の持つ意味を察知したように焦りながらフンニを急かす。
しかし肝心の怜音は全くわれ関せずと言った具合でグラスを傾け乍ら運ばれてきた料理に手を伸ばす。
怜音はもともと男性に対してあまり興味を示さない女性だが、今の怜音の心の中はジャンヨルの事でいっぱいでどんな男性が現れても心を奪われるようなことはない。
寧ろイルリョンの方が怜音に一目ぼれした感じだった。セヨンやナヨンが色々とアプローチするものの当たり障りなくさらりと躱す。
「イルリョンはニューヨークでどんな仕事しているの?」
怜音が聞くとイルリョンは微笑みながらIT関連の会社を経営していますと答えた。それを聞いたセヨンとナヨンは更にうっとりとしながらイルリョンを見詰め乍ら話の先を促す。
怜音はIT関連と聞き少し興味が湧きどんな内容なのか尋ねた。
「僕はスカイプを利用したビジネスに興味があって、特に色々な言語のレッスンは勿論のこと、スカイプを使った家庭学習について力を入れています。
近い将来このビジネスはスカイプ同様に必ず世界中で脚光を集めることでしょう――」
「じゃぁ、K-アカデミーってスカイプで韓国語講座の授業をやっているスクール知ってる?」
「勿論、何度かプロテアンの社長とはお会いしたことがあります。色々アドバイスをもらった事がありますよ」
「そうなんだぁ、プロテアンって言うんだぁ、あの会社――」
「ご存じなんですか?」
「えっ、あぁ、ちょっとお世話になっていて、個人的にね……」
そう言うと怜音は微笑みながらイルリョンを見て、世間は狭いなぁ、と思った。そして最近忙しくて連絡を取っていないアミの事を思い出した。
「へぇ、室長K-アカデミーで韓国語勉強したんですか?」
「そう、そこで知り合った子に韓国へ来るにあたって色々アドバイスを受けたりしてお世話になったの……」
怜音はソウルに来た当時の事を思い出した。あれからもう一年が来ようとしている。月日の経つのはあっという間だなと思った。
色々想いだしながら俯き加減にニタニタしている怜音を見たイルリョンが話しかける。
「何かイイことがあったんですか? 顔がにやけてますよ……」
「そうですよ、室長、彼氏のこと考えて他でしょう――」
「…………」
「えっ!怜音さん彼氏いるんですか……」
「勿論、こんな素敵な女性を世の男達がほっとく訳ないですよ!」
「セヨン、それを言わないでよ。ジャンヨルに会いたくなるからぁ……」
お酒のせいか怜音はニタニタしながらみんなの前でのろけ乍ら顔を赤らめた。イルリョン以外のラバーズのスタッフはみんな怜音の彼氏であるジャンヨルの存在を知っている。

また仕事上で直接スカイプを使って企画についての打ち合わせをすることもあり、ジャンヨルの人となりもよく知っている。
その話を聞いたイルリョンの表情が一瞬曇ったが、頷きながらそれを笑顔で覆い隠した。
そしてお酒の酔いと共に夜も更けていく。帰り間際会計を済ましに行こうとして席を立つ怜音に合わせてイルリョンも席を立った。
「今日は僕が払います。いやぁ、払わせてください!」
「いえいえ、こちらがお招きしておいてそれはできないわ! お気持ちだけいただいておきます」
毅然とした態度で突然のイルリョンの言葉を受け流すと微笑んで見せた。その笑顔にイルリョンは完全に心奪われてしまう。
(なんて素敵な女性なんだろう……)
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体験者の声
2015年11月28日
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韓国コラム
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