「韓流ラブストリー 恋の糸」第39話

「韓流ラブストリー 恋の糸」(スカイプが繋ぐ恋 三十九話)
著者:青柳金次郎


「怜音さん、なんであれほど行ったのにジャンヨルと別れようとしないの?」
いきなりサミンにそう言われた怜音は、何をいきなり言い出すのだろうこの人は、と思いサミンを睨み付けた。

青柳金次郎「韓流ラブストリー 恋の糸」第39


「…………」
「何なのその目は……、言っていることが分からないの……」
「何か勘違いなさってるんじゃないですか、ジャンヨルと私が付き合おうがどうしようがあなたには関係ないことでしょう――」
「勘違い……、分相応の相手とお付き合いなさったらどうなの、ジャンヨルはあなたとは釣り合わないわ――」
「サミンさん、お気遣いいただかなくても結構です。そんなことは私たち二人で決めますんで……」
サミンと怜音は一歩も引く様子はなく互いににらみ合った。そこへ割って入ったイルリョンがサミンに言う。
「サミンさん、あなたが口出す事じゃないでしょう。あなたの身勝手はもう通用しませんよ――」
「大きなお世話よ! イルリョン、私にそんな口をきいていいの? あなたの会社なんて私の一言でなんとでもなるのよ――」
「確かにあなたの御父上のSKグループにはお世話になっていますが、それとこれとは全く関係ないことです。それでもあなたが言うようなことがまかり通るなら、それはそれで結構なことですよ、お付き合いしていただかなくて……」
「フン! 随分と強気な態度ね、いいのかしら……」
「サミンさん、あなた、いま私たちの目にどんな人間に映っているか分かりますか?」
「関係ないわぁ、そんなこと、私と貴方たちとでは住んでいる世界が違うのよ。一緒にしないで!」
サミンのその一言で怜音たちは一気に酔いが覚めてしまった。怜音をはじめとするスタッフ全員がサミンを睨み付けた。
「おおぉこわぁ、下級階層の人間たちは何をしでかすか分からないからこの辺でお暇させていただくわ! あっ、それから怜音さん近々発表になるから分かると思うけど、私とジャンヨル婚約したの……」
「エッ……」
いきなりのサミンの一言で、一瞬にしてその場の空気は凍り付いた。
「ウソつかないで、そんなことある訳ないじゃない。ジャンヨルさんはうちの室長にぞっこんなんだからねぇ――」
「ウソだと思うなら明日のニュース必ず見てね。あなたたちみたいな人間がいるから大々的に世間に発表することにしたから――」
あまりのサミンの自信満々な態度に言葉をなくす怜音だった。
(そんなはずはない、ジャンヨルが私を裏切るなんて……)
「なに? あの人、いきなり現れて失礼な! 室長、もっと強く言ってやればいいのに……」
「そうね、彼女がSKグループの御令嬢のサミンさんよ。みんなも一度くらいは聞いた名前だと思うけど、私もあそこまでとは思は無かったわ――」
「あぁ、やだやだ! でもうちにとってもSKグループは全く関係がないわけじゃないわよ――」
ナヨンが心配げに言うと、怜音がそれに応えた。
「そうね、あの様子だと何かしら業務上での妨害もありうるかもしれないわ、覚悟しておいた方がいいかもね……」
せっかくの飲み会が散々なことになり、ゆっくりとお酒を飲んでいる心境ではなくなった全員は言葉少なげに解散した。その夜怜音は家に帰り早速ジャンヨルにスカイプでコールした。

青柳金次郎「韓流ラブストリー 恋の糸」第39


「アッ、ジャンヨル! 元気だった?」
「ああ、元気だよ。どうしたの? なんだか様子が変だけど……」
「うん、実はねぇ……、言いにくいんだけど、今日ね、スタッフと一緒に飲んでいる席に突然サミンさんが現れて……」
「また彼女かぁ、一体現れて何を言ったんだ――」
「……うん、ジャンヨルと婚約したって……」
「バカな! 俺は知らないぞ、いきなり何を言い出すんだ――」
「本当に?」
「当たり前だろう! なんで俺がサミンと婚約しなきゃいけないんだぁ、冗談じゃない――」
「本当に信じていいの?」
「あの女の言う事と俺の言う事と、どっちを信じるんだ、怜音!」
怒りが爆発寸前のジャンヨルの表情を見て怜音はこたえる。
「わかった! 何があってもジャンヨルのことを信じるわ――」
ジャンヨルの顔が膠着して少し赤らんでいるのを感じた怜音はジャンヨルのことを信じようと心に決めたのだった。しかし翌日サミンが行ったようにテレビでサミンの婚約発表が行われ、相手にはジャンヨルの名前が大々的に語られたのだった。それを見ていた怜音をはじめとするラバーズソウルのスタッフたちは仕事を止めて見入った。
「室長、これどういうことですか?」
セヨンが心配げに怜音の顔を覗き込んだ。怜音は頷きながらセヨンの顔を見た。
「大丈夫、私はジャンヨルの言った言葉を信じてるわ――」
急展開する怜音とジャンヨルの二人の関係、怜音にはただジャンヨルの言った言葉を信じるより他に手はなかった。


青柳金次郎「韓流ラブストリー 恋の糸」第39


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